毎度！改造人間仮面濱ダーですぅ！！
最近読んだ本で、感銘を受けました。紹介します。
渡辺昇一先生の「知的人生のための考え方」PHP新書です。
小恍惚（ピーク・イクスピリアンス）のすすめから、以下転載引用です。
自己実現の日々の喜びとは
小さな恍惚感を得る
天皇陛下が子供の頃の英語の教師であったヴアイニング夫人は、少女の頃、
夕暮れの空を飛んでいく鷺か何かを見た時、一瞬、
その美しさに我を忘れるような体験をしたと書いています。
それで夫人はその後の生活においても、
小さなことにうっとりとする体験をすることに努めたと言います。
大きな喜びで夢中になれるようなことは、
人生において少ないかもしれない、しかし、人生のあちらこちらで、
小さな恍惚感を味わうことができると彼女は言うのです。
＜中略＞
数学の問題が解けた時のあの言いしれぬいい気持ち、時間も忘れて小説に引き込まれている時のあの充実感、系晴らしい音楽に聴き惚れている時の恍惚感・・・。そういった小恍惚を人生のいたるところで見出し得る人は、幸いな人であり、生きがいのある人生を送っている人と言ってよいと思います。心理学者のマズローは、自己実現を十分なしとげた人は、しばしばピーク・イクスピリアンスを持つと言います。この言葉を直訳すれば、至高体験とか頂上体験となりますが、私はヴアイニング夫人の言う小さな恍惚、小恍惚が適訳だと思っています。
この小恍惚に対して、大悦惚と言えるものがあります。優れた宗教家が神の啓示を得た時の絶頂感、禅の悟り、芸術家が美の本質を「これか!」とつかんだ時の開眼、・・・ 。それは、まさしく一種の神秘体験とも言えるもので、生命の本質をつかんだ偉大なる恍惚です。その時には白光が見えるというのは、比較宗教学者エリアーデ(1907～ 1986年)が数多くの宗教を引用して証明しているおもしろい現象ですが、いかんせん我々一般の人間には、なかなか得がたい境地です。しかし、小恍惚の境地なら、生き方ひとつで可能と言えるのです。
そこで、小恍惚を得るためのヒントをいくつかご紹介しましょう。
小恍惚を得るための三つのヒント
一、心は受け身になっている
小悦惚を得る時の心の状態は、受け身であるということです。それは、決して自分の努力によって獲得したという、能動的というか挑戦的な姿勢から得られる実感ではなく、聖人たちが「恩寵」と呼んでいるように、賜物としての実感なのです。私たちはとかく、努力＝ 価値と頑強に信じていて、努力しないで得たものには価値がないという迷信に染まっていると言えます。
しかし、聖トーマス・アクイナス(1225?～1274年)が言うように、「最もよき認識は授けられる」という態度は大切なのです。実際、「よきものは獲得するのではなく、授かるのだ」という落ち着いた人生観で生活している人は、周囲にも幸せを与えているようです。
そして、そういった生き方をしている人は、自ずと感謝する姿勢がごく自然に見受けられます。生に対する感謝、周囲に対する感謝は、人間として欠くべからざるものですが、そこにはやはり、「授かる」という観点がなければ生まれてこないと思います。
考えてみれば私たちが持っている最も大切なものは、言うまでもなく生命です。それは私たちが獲得したものではなく、親からもらったものであり、神からもらったと言ってもいいでしょう。
いずれにせよ誰かによって、何かによって作られたのです。つまり、受け身によって私たちの生命は始まったのです。アレキシス・カレルは「人間は文字どおり大地の塵から作られた」とまで言っています。にもかかわらず、授かっていることを忘れ、ただ「努力で獲得したものが尊い」というのは近代的傲慢と言ってよく、迷信なのです。夜空の星、山頂からのご来迎・・・、こういった自然の美しさや荘厳さは誰が作ったというのではありません。努力といった世界よりもっと大きな世界のものです。その世界に対して私たちが確かに言えるのは、その美しさや厳かさを私たちの心が受けているということです。
通勤電車の窓から眺める夕日が美しかったら、その美しさを受け入れよう。健康だったら、その喜びを受け入れよう。病の床についたら、皆が忙しく駆け回っている時に静寂でいられることを悦い感謝の念を持って受け入れよう。すべて善きものは受け入れよう。そういった姿勢が、小恍惚を生み出し、人生を実りあるものにするのです。
＜以下略＞
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いかがですか？さすが碩学の渡部昇一先生。名文です。
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